塩素イオン

1.塩化物イオンをなぜ測定するのか 
塩素イオンとは水中に存在する塩化物を言う。塩化物は主として生活排水中に含まれ、特にし尿には塩化物が多量にあるので、し尿を多量に含む下水は塩化物イオン濃度が高い。塩化物イオンの濃度は汚染の一つの指標となります。人間のし尿には約5500mg/Lの塩素イオンが含まれています。浄化槽の放流水の塩素イオンを測定することによって希釈倍率を求めることができます。 
2.塩素イオンの測定方法 
1)硝酸銀滴定法(モール法) 
高価な硝酸銀溶液と有害なクロム酸を使用する。滴定に時間がかかり、又硫化物の影響があります。 
2)塩素イオン電極法(CL-10Z)
塩素イオンに感応する塩化銀の固体結晶膜を使用した塩素イオン電極による測定方法は測定が簡単で迅速に正確な測定値が得られます。測定時はイオン活量強度や流速の影響を除去するためにマスキング剤(ISAB)を検水に2%容量添加して校正と測定をします。塩素イオン電極法はJIS法に採用されています。 

3.塩素イオンの測定用途
浄化槽放流水:放流水の塩素イオンを測定することでし尿の希釈倍率を求めることができます。 
生コン塩分測定:生コンに海砂等を使用するとコンクリートの劣化が進行し、建造物の劣化の原因になるので適切な塩分測定と管理が必要。 
食品、化学分野:製品の開発実験、品質管理のための塩分測定等。
4.塩素イオン電極の寿命は 
使用条件によっても電極の劣化の程度は異なりますが、適切な保守管理をする条件で寿命の目安は1~3年位。イオン電極は基本的に消耗品です。電極の保守として銀電極の表面の酸化被膜や汚れはサンドペーパーで定期的に研磨、清掃する事とセラミック液絡部を常に湿った状態に保管する事が望まれます。 
5.塩素イオン電極で残留塩素が測定できるか 
塩素イオンは水に溶解した塩化物であり、残留塩素は次亜塩素酸ナトリウム等に代表される酸化性の殺菌剤のことであり塩素イオン電極では測定できません。
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